先日の記事の中で
「発声障害のリハビリは、これだ!と思えるような感覚を発見できてもそれをなかなか再現できず苦しい時間が生まれやすい」
というようなお話をさせて頂きました。
僕自身のことを振り返ってみても、ながく苦しめられた「再現できない」というお悩み。
それを少しでも改善に導けるような方法が、最近のレッスンで見つけられたような気がしたので共有していきたいと思います。
それは「自分で見つけた発声テクニックや感覚に名前を付ける」というものです。
横隔膜のうごきに注目しながら落ち着いて息を吸う、とか
下あごのちからは極力抜いて喋ってみる、とか
そういった”具体的”な名前(というか説明?)ではなくて
その名前を呼んだ瞬間に、良い発声の感覚が自然と思い出せるような言葉を選ぶのがコツです。
例えば僕は、良い発声の感覚を呼び戻したいときに
『ろうそくの火とかざぐるま』という言葉を思い出しています。
この名前を頭に思い浮かべるだけで
ふっと力強く無駄のない息が吐け、かつ優しく力任せにならない発声の感覚が戻ってきてくれます。
声の不調を改善させるためのリハビリがある程度進んでいくと、気をつけるべき点が増えすぎて、所謂「木を見て森を見ず」な状態に陥りがちになります。
注目する要素や身体の部位が局所的になりすぎると、良い感覚を再現できない要因にもなってしまうのです。
リハビリの初めは、地道に局所的なところから始めるのはとても重要ですが
そこから一歩進み、新しい発声法の習慣化を促すためには包括的なイメージが必要だと考えています。
「名前」を付けることで、地道に積み重ねていった良い発声法のメソッドは具体的な言葉を超えて
個人の感覚に寄り添った、包括的なイメージへと生まれ変わります。
お客様の中には
- 眼輪筋を引き上げ、第一声時に下あごの力を抜く
- →○○(お客様の名前)戦法
- 首の中を内側から押し広げるような感覚をもって、語尾に向かい真っすぐ息を吐き続ける
- →ウルトラビーム
など個性的な「名前」を付けている方も多くいらっしゃいます。いいセンスだ…
もちろん、この方法は地道な積み重ねを経て良い発声感覚を自分で事前に見つけているという前提が必要ですが
この「名前」を呼びさえすれば、あの感覚が戻ってきてくれるという後ろ盾は
良い感覚をなかなか再現できないという悩みを軽減させ、発声障害のリハビリの後押しをしてくれるのではないでしょうか。
みなさまもぜひ、”あの感覚”に名前をつけてみて下さいね。
ボイスケアサポーター 田中眞
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