こんにちは。ボイスケアサポーターをしています田中眞です。
発声障害になると日常生活において必要な様々な言葉が発音しづらくなってしまいます。
その中にはあまり症状が気にならない言葉と、特に発音しづらい言葉が存在しています。
今回は、事前にTwitterのアンケート機能を用いて集計した
「特に発音しづらい母音、子音から始まるフレーズの種類」をランキング形式で発表するとともに、各母音と子音の構造を簡単に説明しております。
また、シリーズものとして
次回以降からは今回のランキングで取り上げた母音子音の発音のコツを挙げていきたいと思います。
第4位:イ、ウ母音から始まるフレーズ
第4位はイ、ウ母音から始まるフレーズです。
イ母音やウ母音は唇はあまり開かず、口腔内の空間を狭めた状態で発音します。
その性質からすこし口腔周りと舌を緊張させた状態にする必要があるため、筋肉を緩めた状態からすばやく緊張させることに不安のある方は特に発音が難しく感じるかと思います。
日常で使うイ、ウ母音から始まるフレーズは
「いらっしゃいませ」
「いただきます」
「つきましては」
「ちなみに」
などが挙げられます。
イ、ウ母音に関しては、発音時の緊張させた状態をまず作り
不要な力みを生んでいる部位を細かく観察し、ピンポイントに脱力させる意識を少しずつ養うことで発音を改善させることが出来ると思います。
また「イ」と「ウ」の違いは唇の調整と、舌の位置によって発音をわけられると考えられますので
それぞれの発音時に唇と舌がどのような位置取りをしているか、を確認していくとより効果的です。
第3位:パ行、ダ行などの破裂音から始まるフレーズ
第3位はパ行、ダ行などの破裂音から始まるフレーズでした。
パ行、ダ行を代表する破裂音を伴う子音は単音の中でも特にパワーの必要な部類にはいり、息の出口を閉じ、口腔内の気圧を高めその閉鎖を開放することによって発声します。
いちど息の流れを止めてから一気に押し流す、という発声時に瞬発力が必要なものとなるため
その息の流れに声帯がうまく対応できないと発音に少し苦戦してしまうかもしれません。
パ行、ダ行から始まるフレーズ自体は少ないものの、
「です、でした」
「どうしよう」
「パン」
「プリント」
など、日常生活を送る上でよく口にする単語の頭には破裂音が用いられている場合が多いです。
パ行は唇を閉じ、ダ行は舌を硬口蓋(上あご部分)につけることによって息の抜ける道を封じます・・・が
破裂音攻略のカギは、いかに口腔内の変化に惑わされず声帯の緊張度合いを崩すことなく発音できるかだと思っているので
脱力と同時に、緊張状態の維持も視野に入れてトレーニングが出来ると症状改善に高い効果が期待できます。
第2位:サ行、ハ行などの摩擦音から始まるフレーズ
第2位はサ行、ハ行などの摩擦音から始まるフレーズでした。
唇を閉じ一度息の流れを完全に遮断する時間をつくる破裂音に対し
摩擦音から始まる子音は唇を一部分だけ開け、その隙間に息や声をとおす点が特徴的です。ハ行の場合は少し特徴的で、唇ではなく声門で摩擦音を生み出します。
「一度息を通す時間を作ってから」というのが難しいポイントで、声帯の動きから言えば
声帯を開く→息を通す→息の流れを切らずに徐々に声帯を閉じる
というプロセスを経て発音されますので、声帯の細かなコントロールが難しい状態では非常に言いづらい部類の子音となります。
日常的に使用されるフレーズとしても
「さようなら」
「すみません」
「そうです、そうですね。」
「それ、その、そこ」
「はい」
「他には」
など数も豊富で、様々な場面で口にするフレーズとなります。
声帯の細かなコントロール、という説明を上で致しましたが・・・
摩擦音に関しても破裂音の発声トレーニングと同じ要領で改善できる可能性が高いです。
つまり、一度息を「スー」と通している時の声帯の状態を維持し続けながら母音の発声へとつなげることで
子音と母音を分断することなく摩擦音をスムーズに発音できると考えられます。
第1位:ア、エ、オ母音から始まるフレーズ
栄えある(栄えなくていい)第1位はア、エ、オ母音から始まるフレーズに決定です。
ア、エ、オ母音は誤解を恐れずに書けば口腔内や舌をはじめとするあらゆる部位を緩めながら発音する必要があるといえます。
ところが、発声時に身体をぎゅっと緊張させる癖がついてしまっている方は、発声が困難に感じてしまいまいがちです。
発声するために必要な筋肉はしっかり収縮させつつも、それ以外の緊張はごっそり取り除かなければならず
シンプルなようでとても難しい言葉といえるかもしれません。
それに加え、ア、エ、オ母音から始まるフレーズはとにかく使う機会が多い!
「ありがとうございます、ありがとうございました」
「結構です」
「おはようございます」
「お疲れ様です、お疲れさまでした」
などなど、挙げればキリがありません。
日本語における丁寧語は頭に「お」が付くため、仕事場や接客、電話対応などの場においてはさらにその多さを実感する機会が増えるでしょう。
丁寧語や敬語を使う必要がある場は、得てして身体の緊張を促しやすい場でもあります。
そういった環境に惑わされず不要な緊張はしっかり取り除いたうえで発音できれば、決して怖いものではなくなると感じています。
最後に
今回はTwitterという、不特定多数の方に呼び掛ける形でこのアンケートを実施いたしました。
ご回答いただいた方の中には、SNS上においても僕と関わりのなかった方もいることかと思います。そういった中でも投票してくださり、貴重な意見を賜れたことがとても有難いです。
次回以降からは、皆様からの投票に込められた思いを胸に、ひとつひとつ丁寧に対策を考えていきたいと思います。
この度は本当にありがとうございました!
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