こんにちは。ボイスケアサポーターをしています田中眞です。
発声障害をはじめとする声の不調を改善させていくためには
「いまスムーズに発声が出来ている」という感覚を足がかりに、新たな発声法を定着させていく必要があります。
そういった主症状があらわれず、かつ声が楽に飛ぶ発声の感覚を、僕は「声のスイートスポット」にはまる、と呼んだりします。
そこで今回は、いわゆる『フォームを整える』段階で重要となるスイートスポットの特徴や見つけていく上でのポイントを書いていきたいと思います。
「スイートスポット」とは?
一般的には野球やゴルフ、テニスなどのスポーツ界で使われることの多い言葉です。
打撃の際に最も大きな力が加わる一点のことを「スイートスポット」と呼びます。
野球で例えるとならば…このスイートスポットでボールをとらえると
ボールがバットに当たった瞬間の感覚がほとんど手に伝わらないのに、勢いよくボールが遠くに飛んでいきます。
物理学上では『衝撃中心』と呼ぶそうです。知らなかった…笑
自分としてはほとんど力を込めていないのに、何故か大きな力が出せてしまうポイント。それがスイートスポットだと考えてよいです。
発声障害改善におけるスイートスポットの役目
僕はスポーツではなく、発声の世界でもこのスイートスポットが存在すると考えています。
スポーツ物理学上の意味合いとはまた異なるかもしれませんが、整ったフォームから発声した際に感じる
ほとんど身体に負荷がかかっていないと感じるのにハリのある良い声が飛んでいる感覚はまさしく
声のスイートスポットにはまっているといっても差し支えないのではないでしょうか。
発声障害を克服していく上でも声のスイートスポットを探ることは大変重要です。
見つけ出そう!自分だけの声のスイートスポット
これまでの僕の経験とレッスンをしていく上で見えてきた、声のスイートスポットを見つけていく上で重要だと考えるポイントを3つご紹介いたします。
日常会話での声の悩みから歌声の改善でも役立つものをピックアップしたつもりなので
ぜひ、以下のポイントを意識してリハビリにご活用いただけたら嬉しいです。
ポイント①”声”ではなく”感覚”に注目する
「Non ascoltare il voce. Sentilo. 聞くな。感じろ」というのは僕が過去に歌のレッスンを受けたときのアドバイスです。ブルース・リーかな?
歌に限らず、日常会話においてもこの「聞かずに感じる能力」というのは大切になります。
スイートスポットを探り当てる時は、声が出ているかどうかよりも、身体への負担がほとんどない感覚を第一に据えながら発声練習をしてみましょう。
良い声を出すためにはどうしたら良いか、ではなくこの身体の感覚を再現すると自然と声が良くなっているという状態を目指すと良いと思います。
ポイント②振動は首ではなく鼻に
野球の場合スイートスポットでボールを捉えた時はバットに全く衝撃を感じないそうです。
発声においても同様で、声のスイートスポットにはまったときは身体、特に首周辺にほとんど振動を感じません。
逆に、喉仏や鎖骨周辺にびりびりとした振動を感じる場合は…
いかにも「頑張って声を出せている!」感覚に陥りますが、じつはほとんど声が前に飛んでいない、なんてことがあるのです。
これまでの経験から、鼻の付け根(眉間)にわずかな振動を感じられているときはスイートスポットを捉えらていることが多いです。
声を高めに、やさしくハミングをしてみると眉間への振動を感じやすいので試してみて下さい。
ポイント➂声の高さや大きさを少しずつ変えて
声の不調を改善させていく過程でコワいのが「一音に特化した発声法が身についてしまう」という点です。
声を何とかしたいと思うあまりに、苦手な言葉をそれっぽく聞こえるような発声を目指してしまうと(ちょっと言葉が悪いですが…)小手先で発声法を組み立てようとしてしまいがちです。
一音特化の発声法が身についてしまっていると、特定の言葉だけ上手に言えたとしても他の言葉がうまく発声できなかったりします。
スイートスポットを探っていく上でも同じことが言えます。
「ここが自分にとってのスイートスポットかも!」と思える感覚を手に入れたら、ぜひ声の大きさや高さ、速さを変えてみてほしいです。
もし変化させていくのであれば
- 発音の速さ
- テキストの内容
- 声の高さ
- 声の大きさ
という順番で発声練習内容を変えていくのがおススメです。
さまざまなバリエーションにもスイートスポットを逃さずに対応できるという状態を目指してみましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか。
良いフォーム→スイートスポットにはまったときの発声というのは、本当に身体に力が入っておらず拍子抜けしてしまうほどかもしれません。
その状態を「身体が楽だ」とするか「こころもとない」ととらえるかがターニングポイントとなる気がしています。
ぜひとも前者のイメージを脳に植え付けながら、リハビリに取り組んでいっていただきたいと思います。
かる~くバットを振っただけなのにボールが勝手にぶっ飛んでいくというのは言葉にできない快感がありますよ。
それでは。
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