「~しなきゃ」から抜け出して、発声障害を乗り越える

「~しなきゃ」から抜け出して、発声障害を乗り越える

こんにちは。ボイスケアサポーターをしています田中眞です。

「フォームを整える」や「成功体験を積む」といった

いわゆる発声障害を克服するためのトレーニングに臨んでいないときでも、日常のふとした瞬間に脳に浮かぶ

「~しなきゃ」

という思い。とても真面目に誠実に病気と向き合っていると言えますが

時として、それは発声障害を克服する上で壁となり得る場合があります。

状況を打開したいという気持ちはそのままに、「~しなきゃ」から脱却する方法を考えました。

もくじ

「~しなきゃ」は行動を制限する

「~してはいけない」や「~しなければならない」という思考は、基本的に自分を抑制する考え方だと思います。

真面目な人ほど、よく「~しなきゃ!」という考え方のもと

禁止事項を自分の中で設定し、それを犯さないように心を抑制し行動を制限していきます。

しかし、時にそれが精神面から自分をがんじがらめにしてしまうのです。

「~しなきゃ」の具体的な例を挙げると

「きちんと挨拶の声を出さなければならない。」

「みんなの前で何かを発言する時は絶対に声が詰まってはならない。」

「声が出ない自分を責めてはならない。」

「頑張ってリハビリに通っているんだから成果を出さなければならない。」

などがそうでしょうか。

これらは自分の声と環境へしっかり向きあっている証拠でもあり、取り組む姿勢として間違ってはいない思います。

ところがそういった考え方は、得てして自分の心をちょっとないがしろにしてしまいがちです。

「こうしなきゃ」「ああしなきゃ」と自分の意志に反するようなことばかりを背負い込んでしまい、身体と心を無理やり操作しようとしてしまいます。

自分の意志に反して臨んだことが、良い結果として結び付かないものなら、ショックも倍増です。

「心に反してまでこんなに頑張って声を出そうとしているのに、どうして出ないんだろう・・・」と。

上述したとおり、取り組み方自体は間違っているとは思いません。

ならば発声障害を克服したい!という気持ちはそのままに、がんじがらめになった自分を開放するにはどうすればよいのでしょうか?

「~しなきゃ」から自分を開放するポイント

がんじがらめになった考えを解くには難しく感じるかと思いますが

考え方をほんの少しずつ変えていくことで、自分を解放させることが出来ます。

そのためのポイントをいくつかご紹介したいと思います。

➀正解の判断基準を下げる

真面目な人ほど自分に厳しく、何を良しとするかの基準が高くなっているものです。

思い切って基準を下げ、自分に「それでいいんだ」とOKサインを出す機会を増やせるように心がけてみてください。

声が詰まったって、震えたっていいです。ボイトレの成果が継続できなくても、いいです。

厳しすぎる正解の基準を設けて、それに応えられない自分を責めてしまうことすら

「ドンマイドンマイ、それでもいい」と言ってしまいましょう。

ハードルを下げることって、簡単そうに見えて意外と難しいものですので焦らずじっくり試してみてください。

➁ネガティブな思考を怖がりすぎない

発声障害の症状に悩んでいるとネガティブ思考を極端に避けたくなるときがありますが、避け続けることもまた厄介です。

つまり

「気持ちを落ち込ませちゃだめだ!もっと明るく振る舞わなきゃ!」

と思った瞬間、すでに「~しなきゃ」の考えに捉われてしまっているのです。

いつでも明るく前向きにいられればそれに越したことはありませんが、どうしてもそれがかなわない日もあります。

そんなときはネガティブな感情に陥ることを恐れず、受け入れてみましょう。

僕は、「自分をちょっとだけ否定する気持ち」には成長を促す可能性があると思っています。

僕自身、自分はこのままではだめだ!もっとこうなりたい!という決心から改善につながったケースは少なくありません。

同じ「自分をちょっと否定する考え方」でも、

「~しなきゃ」から「~したい!」という気持ちにシフトすることにより、結果は大きく変わります。引き算から足し算にかわった、とも言えそうですね。

ネガティブな気持ちは恐れず、いちど受け入れてみると新たな可能性に気づけるかもしれません。

➂周りは案外気にしてない!?と開き直る

発声障害の症状がひどく、思い悩んでいたある日・・・仕事場で先方との打ち合わせの時、僕は

「今日は絶対に声が詰まったり弱々しくなってはいけない!」

という思いで仕事に臨みました。

しかしそんな決意もむなしく、当日の声は詰まりまくりの裏返りまくりでした。かなり苦い思い出です。

先方はそんな僕の姿を見て怪訝そうな顔をしています。

僕は「あぁ、声が出ないことで不信感を抱かせてしまったんだ。」と思っていました。

ところがー

後から同僚を経由して聞いたところ、驚いたことに声の不調については何も気づかなかったそうです。

先方は僕の声が出ていないことではなく、どこか不安げでこわばった表情の僕に対して訝(いぶか)しんでいたということでした。

自分の身体のことは自分がいちばんよく知っているし、変化にも敏感に気づくことが出来ます。

しかし敏感になるあまり、「今日は○○だから~しなきゃ!」と自分の中で強く思いこみすぎてしまうことがあります。

自分の中では大きくとも、案外周りは気にしていないものだ。

とふと考えることで「~しなきゃ」という縛りから解き放てるかもしれません。

最後に

いかがでしたでしょうか。

くどいようですが「~しなきゃ」という考えかたは損をしがちですが、根底からなくした方がよいものではないと思います。

すべては自分の声を治し、よりよい日々を過ごしたいがために思うもの。

その気持ちは大切にしながら、リハビリに十分に生かしていけるだけの心構えをもういちど考えてみていただけたらなと思います。

それでは。

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