こんにちは。ボイスケアサポーターをしています田中眞です。
呼吸法に関する説明をさせていただいていると、お客様から
「息を吸うときはお腹をへこませた方がいいですか?膨らませた方がいいですか?」
というご質問を頂くときがあります。
結論から申し上げますと
どちらも正解です。ご自身の感覚に合う方で実践していただいてOKです!
ということなのですが、ここでふと疑問に思いました。
へこます感覚と膨らます感覚・・・この2つの感覚の差はどこで生まれるものなのでしょうか。
そして、どういった方にどちらをオススメするべきなのでしょうか。
問いが生まれるカギは腹式呼吸にあり?
そもそもの話なのですが、息を吸うときお腹をへこますか膨らませるか問題は
腹式呼吸をお試しいただいているときに尋ねられることが多いです。
問いに対する答えもまた冒頭に述べたとおりです。
自分の身体が楽であり、かつ声帯に適切な量の息が送られているのであれば、どちらの感覚も間違いではないと思います。
僕は発声障害を克服するための呼吸法としては、まず腹式呼吸をオススメしています。
吸気時に空気をたくさん取りいれられる点と、呼気時の安定感があり、発声障害で崩れがちな呼吸のコントロールがしやすいというのが採用の理由です。
「腹式呼吸」自体を疑問視するボイストレーナーさんも多くいらっしゃるのですが
今のところ上記した理由を覆すほどの理屈と実感を得られていないので、変わらず腹式呼吸を実践させて頂いています。
話がちょっとそれてしまいました。
腹式呼吸には、横隔膜だけではなく身体の様々な筋肉のサポートを受けることが出来ます。
そのサポーターの多さこそが長所でもあるのですが、それは同時に「意識できる筋感覚の選択肢が広い」という事でもあります。
もしかしたらお腹へこます、膨らます問題も
どのサポート筋肉を意識するかによって変わってくるのではないか?と考えました。
とにかく実践してみました
お腹をへこませながら息を吸う方法と、膨らませながら息を吸う方法・・・
幸いにも、両方とも「だいたいこんな感覚かな?」というものを掴めたので、実際に僕自身の身体をあれこれ動かしながら違いを考えてみました。
もちろん個人差はあると思うので参考程度にお読みくだされば幸いです。
今回は
「意識するサポート筋の違いから感覚の差が生まれる」という考えのもと、実験を行いました。
腹式呼吸をおこなう際に活躍するサポート筋を4つ挙げ、どの筋肉がどの程度収縮したかを体感で記録していこうと思います。
比べるサポート筋は以下の4種です。
- 横隔膜
- 骨盤底筋
- 腹横筋
- 多裂筋
マッピングの手助けとなるよう、簡単な図解も載せておきます。
①お腹をへこませながらおこなう場合
筋肉の収縮度合い(体感)
※★の数が多いほど強い収縮を感じました。
- 横隔膜・・・★★☆☆☆
- 骨盤底筋・・・★☆☆☆☆
- 腹横筋・・・★★★★☆
- 多裂筋・・・★★★★☆
お腹をへこませながら腹式呼吸をおこなうと、とにかく腹筋群に強い緊張が走ります。「お腹をへこます」という字面からも当然のことのように思いますね。
腹横筋に伴い、多裂筋にも同程度の収縮を感じました。
腹筋と背筋にグッと負荷がかかる呼吸法で、まさに「身体の筋肉を使っているなぁ~!」という感覚でした。
横隔膜と骨盤底筋への緊張は、腹横筋と多裂筋へのそれと比べると小さいような気がします。
②お腹を膨らませながらおこなう場合
筋肉の収縮度合い(体感)
※★の数が多いほど強い収縮を感じました。
- 横隔膜・・・★★★☆☆
- 骨盤底筋・・・★★★☆☆
- 腹横筋・・・★☆☆☆☆
- 多裂筋・・・★★☆☆☆
僕がいつもおこなっている腹式呼吸の感覚はこちらの方ですね。
筋肉への負荷がつよい①に比べ、全体的に身体がそれほど緊張していなかったように感じます(慣れているせいもあるかもしれませんが)。
横隔膜が下がると同時に、骨盤底筋もその動きに合わせるように下方へと圧し下げられます。
腹横筋や多裂筋はあくまでサポート、といった感覚でした。
普段はあまり収縮している感覚はないのですが
圧し下げられた横隔膜などの筋肉が急に緩んでしまわないように、また身体全体のバランスが崩れないように適所で緊張するという感覚に近いように思います。
まとめ
比べてみてわかったのは
①お腹をへこます呼吸法は
腹横筋や多裂筋など身体をぐるりと囲んでいる筋肉に意識を向けやすく
トレーニングには負荷がかかっている方がやりやすくて好き!という方に向いていて
②お腹を膨らます呼吸法は
横隔膜や骨盤底筋などお腹の中の「天井と底」を意識しやすく
そして呼吸はなるべく楽に かつ空気が身体に充実していく感覚からつかみたい!という方に向いているかもしれません。
最後に
いかがでしたでしょうか。
ベストな呼吸への意識がわからない!という方は、今回の結果をもとに自分に合った感覚を探ってみてはいかがでしょうか?
ただし、くどいようですが自分の身体が楽であり声帯に適切な量の息が送られているという目的さえ果たしていれば
呼吸法はどのようなものでも良いと僕は思います。
正しい呼吸法はこうだ!と決めつけることなく気軽にチャレンジして頂ければ幸いです。
それでは。
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