こんにちは。ボイスケアサポーターをしています田中眞です。
先日実施した「言いづらいフレーズランキング」の中で第3位と第2位にランクインした
「パ行、ダ行などの破裂音から始まるフレーズ」
「サ行、ハ行などの摩擦音から始まるフレーズ」
について、それぞれの発音の構造と少しでも発音しやすくするための方法をご紹介したいと思います。
言いづらく感じる原因
そもそもなぜこれらの子音から始まるフレーズを「言いづらい!」と感じるのでしょうか。
僕は独特な子音を発音するための形を作ろうとした時に、声帯までも強く緊張してしまうことが大きな原因と考えています。
まず破裂音に関して言えば、一度口腔内に息を閉じ込め、圧力をかけた状態を作ってから発音するという構造が厄介さを生んでいるように思います。
一度息の流れを閉じ込めることも、それに圧力をかけ続けることも瞬間的にせよ咽喉全体に緊張状態を作ります。
発声障害となると、こういった緊張状態を作ることをすべて喉周り(声帯)で完結させてしまいがちです。
なるべく喉への負担を減らすように減らすように・・・
と心がけている最中に喉の緊張を煽る破裂音がくると、たちまちその意識を崩してしまいがちになるのです。
摩擦音に関しても似たようなことが言えると思います。
口を一部分だけ開け、そこに息を先行して通す際に声帯が無駄に緊張してしまい
子音はなんとか発音できてもそのあとの母音をうまく発音することができなかったりします。
ううむ、厄介…
破裂音と摩擦音の特徴
それでは次に破裂音と摩擦音の発音を「調音点」「調音法」という観点から見なおしてみましょう。
・調音点、調音法とは?
調音点・・・発音する際、異なる音を作るために口腔内のどこを操作するかを示した場所
調音法・・・調音点を構成したうえで呼気をどのように流すかによってさまざまな子音(母音)を発声させるための方法
わかりやすく言えば
調音点は発音する際に動かした口腔内の部位
調音法は調音点を意識したうえで息を流して発音するための方法といったところでしょうか。
さて、次に注目していただきたいのが、パ行、ダ行、サ行の調音点です。※以下に記載します。
- パ行・・・両唇音(上唇、下唇)
- ダ行・・・硬口蓋音(舌先、硬口蓋)
- サ行・・・歯茎音、歯茎硬口蓋音(歯茎、舌先、硬口蓋)
ご覧いただいてわかるとおり、パ行、ダ行、サ行の調音点には声帯が含まれていません。
つまりこれらの子音を発音する際は、声帯のコントロールは不要と考えていただいて構わないと思います。
それではハ行はどうなのかというと、ハ行だけは声門音といい、声帯自体を調音点とした子音になります。
これらを踏まえて考えてみると
ハ行を除いたものはみな声帯のことは放っておいても発音が可能な子音であると認識していただくと、
リハビリに対する安心感が少しは得られるのではないでしょうか。
それぞれの子音を上手く発音するコツ
それでは発声障害対策として、破裂音と摩擦音の発音を上手く発音するためのコツを書いていきたいと思います。
これまで挙げた内容も加味して実践していただければ幸いです。
パ行、ダ行などの破裂音を上手く発音するコツ
まず前提として
発音に声帯自体の操作は全く関与しない!というイメージを持っていただいていいと思います。
調音点、調音法を意識しすぎて声門までも一緒に強く閉鎖、開放してしまうと上手くいきません。
無声発声[p] [d]と有声発声 [pa] [da]を交互に繰り返しながら発音してみましょう。その時に注目すべきなのが喉周り(声門)の感覚です。
調音点をつくるのに合わせて喉周りがぴくっと反応するような動きを感じたなら少し注意が必要です。
繰り返す中で、なるべく首周りの意識を除いたうえで調音点をコントロールする意識を植えつけていきましょう。
サ行、ハ行などの摩擦音を上手く発音するコツ
サ行に関しては、破裂音を発音するときのトレーニングとほぼ同じ内容でかまいません。
ボイトレでもよくあるようなブレストレーニングのように息を流しながら、サ行を有声、無声で発音してみましょう。
繰り返しになりますが、その時の調音点や調音法によって喉周りの緊張も一緒になって高まっていかないように注意してみてください。
ハ行に関しても声帯の安定感を得たいところではあるのですが・・・
調音点が声門(声帯)のため、どうしても喉周りが過剰に反応してしまいます。ここは焦らず、3つのステップを経て発音のコツをつかんでいきましょう。
- 子音だけを無声音でロングトーン
- 軟口蓋を挙上させた状態で、1.と同じことをする
- それに加え、母音を入れてロングトーン
ステップ1.の子音に関してはどの調音法を選んではじめても大丈夫です。個人的には[f](フ―)で無声発声するとやりやすかったです。
最後に
いかがでしたでしょうか。
他の子音に関しても言えることですが、調音点と調音法という見方をすると、発声の要ともいえる声帯がほとんど関与していないことが分かります。
当たり前と言えば当たり前なのかもしれませんが、
「声が出ない!」という悩みを一度抱えてしまうと、破裂音や摩擦音のような厄介な構造を持つ子音を前にどうしても意識の先は声帯に向いてしまうものです。
次回は子音ではなく母音をテーマに記事を書いていきたいと思います。
それでは。
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