発声障害を克服する…医療行為とボイトレの違いを考える

発声障害を克服する…医療行為とボイトレの違いを考える

こんにちは。ボイスケアサポーターをしています田中眞です。

発声障害をはじめとする声のお悩みを解消するための方法として、ポピュラーなものに

  • ボツリヌス注射や甲状軟骨形成術Ⅱ型をはじめとする医療行為
  • ボイストレーニングによる音声訓練

が挙げられます。

今回は、医療行為とボイトレという2つの治療法の特徴と違いについて、考えてみました。

なお…大事なこととして筆者である僕は医療行為を受けたことがありません(医師からの説明と、経験者からの話のみ)。

情報に偏りが出ないよう気を配りますが、あきらかに違うことを書いているようでしたらご指摘いただけますと幸いです…💦

もくじ

“医療行為”=ボツリヌス注射、外科手術とします

まず、2つの治療方法をくらべる前に

“医療行為”が何を指すのかを定めておこうと思います。

見出しにもある通り、今回は”医療行為”をボツリヌス注射と、甲状軟骨形成術Ⅱ型⁼外科手術と致します。

  • 発声障害の治療においては第一選択とされている治療法
  • 施術経験のある方から最も情報を収集できた

という点からこの2つに絞り込みました。

以下に、二つの治療法に関する概要を載せておきます。

ボツリヌス注射に関する概要

この薬は、ボツリヌス菌がつくり出すA型ボツリヌストキシンという天然のタンパク質を有効成分とする薬です。(中略)ごく少量を異常な緊張が生じている声帯の筋肉に直接注射すると、筋緊張が緩和されることによって症状が抑えられることがわかり、痙攣性発声障害に対する治療法として利用されています。

効果は2~3日で現れ、通常3~4ヵ月持続します。時間が経つにつれて徐々に効果が消夫し神経の働きが回復してくるため、注射前の状態が再び現れてきます。この場合、ボトックスを再投与することによって同様の効果が現れます。

医療法人顕夢会 ひろしば耳鼻咽喉科「ボトックスによる治療に対する同意書」より引用

甲状軟骨形成術Ⅱ型に関する概要

痙攣(けいれん)性発声障害に対しての実例も豊富で高い効果が期待できる施術です。けいれん性発声障害の大多数は、声を出す時に声帯を強く締め過ぎる内転型と呼ばれるもので、これは手術によって改善できます。

手術では一色が開発したチタンブリッジを甲状軟骨に装着します。こうすることで、声帯を広げ、緊張を緩めたまま固定することができます。

医療法人顕夢会 ひろしば耳鼻咽喉科「甲状軟骨形成術」より引用

医療行為とボイトレの違い①:効果が出るまでの時間

感覚としても分かりやすい、いちばん大きな違いは何といっても効果が出るまでの時間の差だと思います。

医療行為は2~3日または1週間の安静期間を経て、すぐに効果が表れ始めます。

もちろん、施術される方によって個人差はありますが

良いものにしろ悪いものにしろ、声に影響が出るまでの早さはボイトレの比ではないように思います。

施術を受けた方の中には、医療行為を「魔法にかかったように」と例えられた方がいらっしゃいましたが、まさにその言葉通りだと思います。

長い間じぶんの心身を苦しめていた、しつこい声の不調が一度の施術によってコロッと情勢が変わってしまうわけですから。

ただし、医療行為を受けると本人の意思や声の調子とは別に治療の効果という事情が新しく絡むことになります。

薬の副作用や、術後の傷や違和感などはある程度心して受ける必要がありそうです。

くらべて、ボイストレーニングは積み重ねてなんぼの治療法だと思います。

良くも悪くも、成果が感じられるまでには時間がかかります。

「今すぐ、じぶんの状態を激的に改善させたい!」

という方には、コツコツと積み重ねていくボイストレーニングはともすると満足感の得られにくいものかもしれません。

その反面、積み上げてきたものの安定感は強力です。

一夜漬けで臨んだテスト勉強の内容が、肝心の当日にはすぐ忘れてしまうように(←経験済み)

即で覚えたことは即に忘れてしまいますが、ボイトレはその逆で

身体ぐるみで地道に覚えていった感覚はなかなか崩れません。

勿論、声の調子は一進一退を繰り返す場合が多いですが、たとえ不調になってしまったとしても

  • トレーニングが効率的になり、不調からの回復が早くなる
  • 具体的な対処法がわかるため、精神的に安定する

など、ただ単に声そのものの改善ばかりではなく、日々変化する声の調子に心身が寄り合うようになっていきます。

すぐに効果が出るが、医療的な事情をあらたに抱えることになるか

不調に対しても強く安定感があるが、コツコツ積み上げる必要があるか

まず、ここに大きな違いがあるといえるのではないでしょうか。

医療行為とボイトレの違い②:”与える”ことができるか否か

もう一つの大きな違いは

施術者が、患者本人に変化を直接与えられるかどうかという点があります。

医療行為においては、筋肉に注射をうったりチタンブリッヂを埋め込んだりと

患者に対し、お医者様は声を変える何かしらを直接操作をすることができます。

しかし、ボイストレーニングはそれができません。

どれほどコーチングが巧みなトレーナーであっても、できるのはあくまで質問や「提案」だけにとどまり

その「提案」を受け入れ実践するか、聞き流すかはお客様の判断にゆだねられます。

ボイストレーニングによる克服を選択した以上

お客様にはどうしても自分の声や感覚と向き合い、トレーナーが提示したあらゆるメソッドを試しながら自分取捨選択をしていく必要があります。

その道のプロフェッショナルから、声を変える何かを与えていただくか

心身と向き合い、試行錯誤をしながら自分で声をつくっていくか

これが医療行為とボイトレの大きな違いといえるでしょう。

最後に

いかがでしたでしょうか。

情報に偏りが出ていたら大変申し訳ございません…。ただ強調して伝えたいことは

発声障害を克服するための方法は、ひとつではないということです。

今回とりあげた2つのほかにも、リハビリ方法として挙げられるものはいくつもあります。そしてそのそれぞれに、等しく特徴や長所と短所があることでしょう。

自分は、自分の声をどうしたいのか。

それを実現させるためには、自分にとってどの方法が良いのか。

じっくり考えて、ご自身にとってベストな選択を取っていただけたらと思います。

それでは。

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