こんにちは。ボイスケアサポーターをしています田中眞です。
練習においても本番においても
フォーカルジストニアによって不調を抱えている状態というのはとても不安なものです。
じぶんの意図しない、思わぬところでが身体が動かなかったりして苦しい思いをすることもあるでしょう。
しかし僕は、「思うように動かなかった」経験のなかにこそ、不調を改善に導くカギが眠っていると思っています。
今回は失敗をただの嫌な思い出としてではなく、
フォーカルジストニアを克服する糧としていくためにはどうしたら良いかを書いていきたいと思います。
うまくいかないからこそ、わかることもある
「失敗は成功のもと」
という言葉は昔からよく言われていますが、フォーカルジストニアを克服していく上でも重要な考え方だと思います。
ミスをしても、失敗してもめげずに困難に立ち向かおう!などという激励の意味以上に
失敗を経験するということは現状を把握し、問題解決に導くうえでとても大切です。
つまり思った通りに身体をスムーズに動かせるようになるには、
それができない時の状態を知ることが第一歩となると考えています。
なぜうまく動かないのか、という問いに対する答え-
(歌でいえば)声が出ない時、身体や精神状態がどうなっているのか
スムーズに声が出せている時と、何がどう違うのか…
これらは、失敗した時だからこそ認知できるものなのではないでしょうか。。
失敗を糧とするための3つのコツ
失敗から何をどう学ぶかが、改善の大きなポイントとなる…
それでは、失敗をバネにしてより大きな克服へのヒントとしていくためにはどうすればよいのでしょうか。
僕が考えた、「失敗」と向き合う時に意識したい3つのコツを書き出していきます。
①脳or身体どちらが苦しかったか。-続けるべきか、変えるべきかを見極める
失敗をしてしまった原因が現在のやりかた(奏法や発声法)にあると見当をつけたとき
恐らく、多くの方がそのやりかたを続けるべきなのか変えていくべきなのかを検討すると思います。
歌でいえば
成功体験を積み重ね正しい発声を根づかせるには、みつけた発声法をある程度継続して行う必要がありますが
自分の身体や感覚に合わない発声法を続けていても、なかなか悪循環から抜け出すことは出来ないでしょう。
ではそのやりかたを続けるべきか変えるべきか、判断の基準はどうすればよいのか。
僕は失敗をしたときにおこる発声の違和感が
身体からくるものか、或いは脳で感じるものかをまず考えるようにしています。
声を出してみて呼吸しづらい、疲労感があるなど身体が苦しい感覚があるならやり方を変えますが
この発声法では声を出すのに心もとない、ちょっと不安だと思う程度なら続けるようにしています。
パフォーマンスの不調を抱えている状態は、脳と身体がイメージする声の出しかたにズレがある状態であるといえます。
声でいえばどれだけ身体が「自然に声を出そう」と頑張ったところで、脳は声が詰まるほど身体をこわばらせて行う発声を「自然」と思いこんでいます。(個人差はあります)
脳が(この発声法が心もとないな・・・)と感じる時は、「自然」からちょっと離れた声の出しかたが出来ている証でもあるから、このまま続けてみようというワケですね。
失敗をしてしまった今のやり方を、不慣れからくる一時のミスとみて続けるべきか、路線変更をするか。
脳と身体の感覚ズレを意識しながら選択していくといいと思います。
②自分を責めない→出来るかぎり時間を空けて反省する
調子が悪い時は、とにかく精神的に緊張しやすくプレッシャーがかかります。
パフォーマンスに不安を感じている状態であると、いつもより実力が出しづらかったりして失敗する回数も増えてしまうかもしれません。
失敗するとつい「何で出来ないんだろう・・・」とその場で反省したくなりますが
直後はえてして、周りや過去の自分と比較してしまい、いまの自分自身を責めることばかりに注力してしまいがち。
そういった時はなるべく時間を空け、冷静に当時の状況を分析できるくらいに落ち着いてから反省を行うようにした方が良いと思います。
失敗した直後にその時の状態をどこかにメモしておいて、あとで見直すという方法も効果的です。
またプレッシャーがかかっている時というのは、モチベーションは高い状態とも言えます。
何とかして自分のパフォーマンスを向上させたい。もっと頑張りたい!
と思うからこそ緊張するというものです。まずはそんな自分を褒めてあげたうえで
その緊張状態をうまく利用できれば、高い集中力をもって練習に臨むことが出来るかもしれませんね。
③なんとなく、も大切に。-「大局観」を養う
「大局観(たいきょくかん)」というのは、ざっくり言うと
ある物事の全体をみて今どのような状態にあるか、どこに向かっているかを大雑把に捉える考えかたです。
あらゆる局面において、読みや直感で指し手をきめる将棋の世界などでも使われる言葉だそうです。
自分が思うようなパフォーマンスが出来ない時期が長引くと、それに対する策を選択肢としてたくさん考えるようになります。
こうしたら良くなるかもしれない
ああしたらどんな感じになるか・・・
思いついたひとつひとつの策は心強いものとなりますが
失敗し、次の方法を考えるうえで
策が膨大な数に及ぶと、こんどはどの方法を選ぶかという判断がむずかしくなります。
そういった時に、大きな流れを俯瞰する「大局観」が役に立ちます。
このような見方をする利点の一つに、選択の近道が出来るというものがあります。
たとえば大局観に基づいて、今のじぶんは身体の感覚が鋭くなっていると判断し
「もう一歩でなんとなく何かがつかめそう!」と思った時は、目先の失敗に囚われずガンガン攻めていく方針で策を考えていいと思います。
逆に、この失敗は前日以前からの睡眠不足からくるものだと思ったときは
練習方法ではなく、いかにして自分の体力回復を図るかという考え方に集中させることができます。
先に挙げた①「続けるべきか、変えるべきか…」という話にも似ていますが、大局観は必ずしも論理的ではないという点では独特かもしれません。
失敗から現在の自分の状態と、それが何によって引き起こされ、どこに向かおうとしているのかを”なんとなく”イメージすることで
いま考える必要のない、かなりの数の選択肢を減らしていくことが出来るのです。
最後に
いかがでしたでしょうか。
ピンチはチャンス!という言葉があるように、じつは失敗の中にこそ次のステップへと続くヒントがたくさん詰まっています。
この記事を参考に
失敗することを過度に恐れすぎず、そこから多くを学び取れる感覚が鋭くなっていただけたらなと思います。
それでは。
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