フォーカルジストニアと「モチベーション」

フォーカルジストニアと「モチベーション」

こんにちは。ボイスケアサポーターをしています田中眞です。

フォーカルジストニアの恐ろしい点に

思い通りに身体が動かず、パフォーマンス能力が落ちてしまうことのほか

演奏そのものに対するモチベーションが落ちてしまうことが挙げられます。

以前は好きだったことが、だんだん楽しくなくなってきてしまう…

今回は、音楽演奏と「モチベーション」というものについて考えていきたいと思います。

もくじ

「音楽が大好きだったのに」…

先日のレッスンでこんなことがありました。

声の不調を訴える歌手のお客様のサポートをさせていただいている中、話のなかで

“今いちばん不安に思っていることが何か”という話題になり、そのお客様は

「演奏にたいするモチベーションが湧いてこない」

ことがとにかく不安だとおっしゃっていました。

近日中に本番やレコーディングが控えているけど、どうしてもそれらに向かって歌の練習を続けていくことが苦しい。

歌うことだけではなく、他人の演奏を聴いているのもつらいとのことでした。

さらに厄介なのが、それは調子がある程度上向いていても、前ほどの「やるぞ!」という気持ちにならないということでした。

つとめて冷静に話されてはいましたが、その奥でどれほどの苦労があったことでしょうか。

「あんなに音楽が好きだったのにな…」

と、ぽつりとつぶやいたそのシンプルな一言が、まっすぐ重く胸にずんと響きました。

モチベーションの上げ下げがもたらすもの

それからしばらく、モチベーションというものに対して考えるようになりました。

ないよりはある方がいい(←そらそうだ)とか、一度下がったらなかなかアゲられないよなぁとか。

そもそもの話、モチベーションが上がったり下がったりすることでどんな変化があるのだろう?と考えた時、僕は

モチベーションが上下することによって変わるのは、能力ではなく相場なのではないか?

と思いました。すこしわかりやすく例えるならば

厳密には性能自体は何も変わらないけど、時と場合によって相場が変わる電化製品

みたいな感覚でしょうか。

相場が変われば、その製品に対する”期待値”もかわっていく。

相場が上がれば「すごい機能があるにちがいない!」と胸が躍り

下がれば「あんまり大したことないんだろうな」と高を括ってしまう…

モチベーションが高い(低い)ということも同様に

自分自身に対する相場が上がっている(下がっている)状態といえるのではないでしょうか。

つまり、モチベーションが下がっている時には

性能如何にかかわらず自分自身に対して低い評価をしてしまっている。

ということです。

そう考えると、ちょっともったいないような気もします。

自分に必要以上の低い評価をしないためには、どのような工夫をしていくべきなのでしょうか。

モチベーションを維持するためのアイディア

ここからは、いろんな方とお話をする中でみえてきた

モチベーションを維持するためにどうしていくべきか、何を心得ておくべきかを挙げていきたいと思います。

①”上げる”ことよりも、いかに”下げないか”

自分に自信がないときにおいては、一度下がってしまったモチベーションを上げていくことは大変です。

なので、まず日々のモチベーションに対しては「どう上げるか」ということよりも「いかに下げないか」ということを念頭に置いて練習していくと良いと思います。

「うおお!やるぞ!」という燃え上がるような気持ちも勿論そうですが

「なんとなく、まぁ今日もフツーにやるか」という気持ちも同じくらい大切にしていただきと思います。

その“フツー”を続けていくこと=モチベーションを下げないコツであるはずです。

②あえて、自分をちょっと無視するくらいで

モチベーションが下がっている時、気持ちは下がると同時に、どんどん「自分自身」に向かっていってしまいがちです。

自分のことなので、それは当たり前といえば当たり前なのですが💦

しかしモチベーションが下がっている状態の自分を構いすぎると、ますます辛くなってしまう時があります。

そんな時は、ちょっと自分自身から意識を離してみると良いと思います。

好きなアーティストさんの演奏やドキュメンタリーを観たり、新人発掘系(?)のオーディション番組を観たり

気持ちが下がっている自分を少しだけ「無視をする」ことによって

モチベーションを必要以上に低下させることがなくなります。

③自分へのハードルを低くする。それでもダメなら…

下がってしまったモチベーションを何とか引き上げようと、ついつい高い目標や期待を自分にかけてしまう方が多いようです。
(かくいう僕もそのうちの一人でした・・・)

そんな時は思い切って、自分に対するハードルをとにかく低く設定してみると良いかもしれません。

びっくりするぐらい簡単な目標を設定し、それらをひとつひとつ丁寧にこなし

小さな「達成感」を何度も味わうことで、自信とモチベーションを積み重ねていってみて下さい。

それでもどうしてもモチベーションが上がらない・・・!となったら

いちど、楽器に向かう手を置きゆっくりと過ごされてみて下さい。

まちがいなく、いつか

「あ、練習したい!」と思える瞬間が来ます。

今はその瞬間をこっそり楽しみにしながら、良く休んでみてはいかがでしょうか。

最後に

今まで楽に出来ていたことが、どう頑張っても出来なくなってしまう。

フォーカルジストニアの恐ろしいところは

演奏技術ばかりではなく、その気持ちも長い間下げ続けてしまうところにあります。

じつは

・・・・・個人的にはモチベーションが下がることを極端に恐れる必要もない気がしています。

過去のことをふと顧みたときに、今でも時々考えるのです。

自分の心にウソをついてまで、気持ちを奮い立たせる必要が本当にあったのか、と。

様々な意見がでることだと思います。

皆さんは、ご自身の「モチベーション」とどのように向き合っていますか?

それでは。

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フォーカルジストニアと「モチベーション」

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