フォーカルジストニア発症の原因を考える:恐怖心という「痛み」

フォーカルジストニア発症の原因を考える:恐怖心という「痛み」

こんにちは。ボイスケアサポーターをしています田中眞です。

一般的に痛みを伴わないと言われるフォーカルジストニア。そのせいで気づかぬうちに悪化してしまうことがあります。

他のケガや故障のように「痛み」があれば早く気づけるのに・・・。

今回は、フォーカルジストニア発症の原因を「痛み」という観点から考えていきたいと思います。

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もくじ

「痛み」は身体を守る大切なSOSサイン

人間は「痛み」を感じることで、自分の身体に何らかの異常や異変が起きていることに気がつきます。

もし仮に「痛み」という感覚がなかったら

危険を察知したり回避することができずケガや病気を繰り返したり、最悪の場合は命の危険につながる恐れもあります。

「痛み」とは本来、人間の身体や命を守る危険信号として非常に大切な役割を持っているのです。

音楽家にとって「痛み」を伴う身体的な異常といえば腱鞘炎や声帯ポリープ・声帯結節などが代表的なものと言えるでしょうか。

音楽家は炎症が引き起こす「痛み」を予兆として身体の異常に気づき、その後に適切な治療を受けることでリスクを小さく抑えることが可能になるわけです。

フォーカルジストニアに痛みは…ない!?

ではフォーカルジストニアの場合はどうなのかというと・・・

初期段階から明らかに重症化してしまうまでの長い間、痛みを伴わない場合がほとんどです。

音楽家は”演奏中の違和感”という形でとりあえず認知は出来ても、せいぜい

「何だか調子が良くないなぁ」

「練習が足りてない」

「疲れているだけかも」

と思うのみで、それをフォーカルジストニアの予兆と気づかないうちに練習をつづけ、症状を悪化させてしまうことになります。

身体的な痛みを伴わずに、じわじわと不調を深刻化させていく点がフォーカルジストニアの厄介な特徴と言えるでしょう。

「身体的な痛み」にあたるフォーカルジストニアの予兆は?

では、本当にフォーカルジストニアには腱鞘炎やポリープのように事前に察知できる身体的な「痛み」にあたるものはないのでしょうか。

これさえ分かれば、フォーカルジストニア重症化のリスクを少しでも抑えられます。

僕の経験を基に、すこし考えてみましょう。

“演奏上の違和感”が発症のきっかけとすると?

思い起こせば、前述したような

“演奏中の違和感”を、フォーカルジストニア発症のきっかけとしてお話しくださる方は多いです(僕もそうでした)。

僕の場合、そもそも”演奏中の違和感”を感じたのは、歌っていた時のちょっとしたミスからうまれた「失敗に対する恐怖感」を意識するようになってからでした。

それからの僕は恐怖心によって、失敗から逃れるような歌い方をつづけてしまっていました。

その結果、無意識のうちに失敗から身体をかばうフォームが定着してしまい、それがフォーカルジストニアの深刻化につながったのです。

失敗に対する恐怖心=「痛み」という考えかた

苦々しい話でしたが、たとえばこのような

「失敗を恐れる気持ち」を「身体的な痛み」に代替させることはできないだろうか・・・?

(言葉が適切かどうかは別にして)つまり、失敗に対する恐怖心を心身からの危険信号として扱うということです。

一般的に言うと、演奏している時に恐怖心を持つことはタブーとされることが多いです。

そして思い通りの演奏が出来なかった時には

「失敗を恐れないメンタルが欲しい!恐怖心を無くしたい!」

と訴える方は少なからずいらっしゃいます。かくいう自分もそうでしたが・・・

大切なのは失敗を恐れないメンタルを目指すよりも

失敗を恐れるという「痛み」をしっかりと認知してあげたうえで、その危険を回避するための演奏法を再構築していくことではないでしょうか。

不安を抱えた状態で良いパフォーマンスは難しいし、それを取り除きたい気持ちはよく理解できます。

しかしそれを「失敗を怖がるな!」という気持ちで無理やり演奏や練習をつづけることは、「痛い」と感じる心を無視することになるのではないでしょうか。

さながらそれは針で手を刺され、「痛い」と感じても手を動かさずにいるようなものです。

自分の恐怖心をうまく解消させるためにも

まずはその気持ち(=痛み)がどこから、何を原因として生まれるのかを見極め、身体をかばうような演奏方法になる前に慎重に練習を積み上げていきましょう。

そうすることでフォーカルジストニアの発症や重症化を抑えられると思います。

最後に

いかがでしたでしょうか。

今回は「痛み」をテーマにフォーカルジストニア発症の原因をつらつらと考えました。

「失敗を恐れる気持ち」という心からのSOSサインをどう捉えるか・・・

フォーカルジストニアを知るうえでもしっかりと「痛い」や「怖い」という気持ちとも向き合っていきたいですね。

それでは。

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